電気主任技術者「保安管理業務 外部委託」市場 ボトムアップ規模推計(2026年6月版)
電気事業法に基づく自家用電気工作物の保安管理業務外部委託(電気保安協会・電気保安法人・電気管理技術者への委託)の国内市場を、供給側の実売上と需要側の件数×料金の二方向から積み上げ、年 約1,100〜1,600億円と推計。全出典を一次/二次の別を明示してリンク。
この市場は「電気事業法という規制が需要を固定している」のに、商用市場調査が薄い典型的なニッチだ。理由は3つ。第一に、最大プレイヤーが上場企業でなく一般財団法人(10の地域電気保安協会)であり、しかも各協会は開示ページに貸借対照表しか直リンクせず、損益(正味財産増減計算書=事業収益)をきれいなURLで出さない。だから外部からの集計が手間で、矢野・富士経済の標準レポートでも「受変電スマート保安」など隣接テーマはあっても、保安管理委託そのものを売上で輪切りにした公開レポは見当たらない。第二に、料金が容量・地域・契約で個別見積りのため、案件ベースの正確な平均単価が表に出ない。第三に、点検単価が月1〜3万円規模と地味で、派手なTAMストーリーになりにくい。結果として、規制で守られた1,000億円超の安定市場が、誰もボトムアップで丁寧に積んでいない状態で放置されている。
いま起きていること(出典付き)
- 外部委託承認制度の対象は『電圧7,000V以下で受電する需要設備』『出力2,000kW未満(太陽電池等)の発電所』等で、所轄産業保安監督部長の承認を受ければ主任技術者を選任せず外部委託できる(日本電気技術者協会の制度解説、2026-06確認)。
- 保安業務担当者1人が担当できる事業場は『換算係数の合計33未満』が要件で、換算係数は設備容量等により0.2〜1.6が設定される(同・一次)。
- 供給側の中核は全国10の一般財団法人電気保安協会で、合計350カ所以上の拠点・7,000名以上の技術者を擁する(電気保安協会全国連絡会・公式、2026-06確認)。
- 関東電気保安協会の売上高は355億円(2022年度)、職員2,663名(協会公式の協会概要ページに明記、2026-06確認)。
- 関西電気保安協会の売上高は189億円(2024年度実績)、従業員1,564名(2025年3月末)(マイナビ会社概要、2026-06確認。死リンクのNIKKEI COMPASSの代替)。
- 中部電気保安協会の正味財産増減計算書(平成22年度)では経常収益計207.6億円のうち保安業務手数料が166.6億円(約80%)、調査業務手数料37.6億円。協会売上の約8割が保安業務である構成比の一次根拠(年度は古い点に留意)。
- 民間最大手の日本テクノ(株)は保安点検実施件数68,961件、電気主任技術者2,034人(自社ページに明記、2026-06確認)。
- 高圧受電設備(キュービクル)の外部委託料金例は100kVAで月9,000〜11,000円、500kVAで月20,000〜28,000円(kui-ya、2026-06確認)。規模別では小規模店舗1〜2万円/月・大型5万円超/月(スマート修繕、同)。
- NITEの令和5年度電気保安統計では自家用設置者の事故報告479件、需要設備の事故250件・うち波及事故206件。波及事故の主因は保守不備(自然劣化・保守不完全)で約6割を占め、点検需要を裏打ち(NITE一次、PDF抽出で確認)。
- 経産省の電気保安人材WGは『2030年に第三種電気主任技術者が約2,000人不足(全体の約1割)』と予測。担い手の高齢化が外部委託需要の構造ドライバ(WGを引用する二次、2026-06確認)。
要するに: 要するに、これは「規制が需要を作り、担い手不足が単価を支える」守られた市場で、供給側の実売上(10協会+電気保安法人+個人技術者)と需要側(外部委託件数×容量別料金)の二方向から積むと、保安管理業務外部委託のコア市場は年 約1,100〜1,600億円のレンジに収まる。最大の不確実性は『大手3協会の売上から全国へ広げる按分比率』と『1件あたり平均年間委託料』の2つで、ここを動かすと結論が±3〜4割ぶれる。点推定でなくレンジで読むべき市場だ。
規模感(速報): 年 約1,100〜1,600億円(保安管理業務 外部委託のコア市場、2024年前後・名目)
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